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2020-06

前回に続いて

 ささやかですが、本家サイトを更新しました。

【Farbe】
・異世界ルポルタージュ『チェンバロのお話』に扉絵を追加

 扉絵によって、本文に入りやすくなったのではと思います。
 フィオレッラのキャラデザインも、チェンバロのデザインも、スケッチを重ねて検討しました。その時代らしさ、が出ていたら良いなと思います。
 チェンバロは時代や地域によってデザイン(と鍵の数)が様々なのが面白いですね。
 当時の女性のドレスも面白い。スカートに縦向きのフリルが施されているのをよく見ますが、フィオレッラのスカートを飾るのは四角いレース。

  『チェンバロのお話』は、私にとって新しい試みでした。現地の人の視点で描いていくのは、『魔法薬のお話』の一部にも入れた要素ではありますが、今回は大部分がフィオレッラの一人称となりました。
 加えて今回は魔法らしい魔法が出てきていません。その代わり、「リヴィエ(とフーラル)が長きに渡って生きている」という部分が引き立ったのではと思います。

 ふたりがフィオレッラと出会う前にも、ひとつの楽器を愛する者や、その者の奏でる音楽で心救われる者、思い出と音楽を心に秘めて生きる者、語り継がれた輝きを喜びとともに分かつ者……と、ふたりはきっと様々な人に出会ってきたのでしょう。だから、フィオレッラに手を差し伸べたいとリヴィエが思うのも自然なことだったのでしょう。フーラルも、日々リヴィエからフィオレッラの事情を聞いていたのだろうと思います。
 フーラルが食事の配達に行かなかったのは、さすがに男児ふたりで押しかけるのには気が引けたから。一方で、チェンバロの引き取り手を探すのに同行したのは、護衛の必要があると判断したから。いくらリヴィエに体力と魔力があるとはいえ、フィオレッラとふたりでヴェネツィアの迷宮を歩かせるのはさすがにどうかと思ったようです。

 物理面で支えるのはフーラル、精神面で支えるのはリヴィエの役目。
 腹を括っていざ外へと歩み出たフィオレッラですが、胸中の心配事が消え去ったわけではありません。

 「チェンバロの引き取り手が見つからなかったら?」
 「見つかったとしても、海の向こうだったら?」
 「街の中であっても、無事に帰ってこられなかったら?」

 もしかすると、道中で心配事を口にしてしまうこともあったでしょう。そこでリヴィエがこう答えていたかもしれません。

 チェンバロの引き取り手が見つからなかったら?
 ──『見つかるまで探そうよ』

 見つかったとしても、海の向こうだったら?
 ──『遠くの人にも愛してもらえる楽器なんだね』

 街の中でも、無事に帰ってこられなかったら?
 ──『大丈夫だよ。帰ってこられるから』

 本文に入れるか悩んで、泣く泣く削除したひと場面でした。
 思えばリヴィエも六百年ほど前には、フィオレッラのように探し相手が見つからない可能性への不安を口にしていましたね。

『……どうしよう、フーラルが見つからなかったら……こんな砂の中なんだよ、きっと心細い思いをしているよ。飛ぶことも、誰かに居場所を伝えることもできないんだよ』(1168年『夾竹桃の街 前編』)

 かつてのリヴィエも、進むことも戻ることもできなくなるほど悩んだからこそ、フィオレッラの気持ちがわかったのでしょう。と同時に、当時はテナやヴォルニーといった年長者が『リヴィエの行動で解決できるように』導いたからこそ、時を経て同じように年長者のリヴィエがフィオレッラを導けたのだと思います。


 ところで、フィオレッラもどこか偏りのある人物だなあと、書きながら思っていました。
 家族や使用人に向けられた、どこか妄信的な感情。彼らの優しさをフィオレッラが疑わずにいたのは、疑うのは良くないと思っていたからか、あるいは疑いたくないと心に決めていたからか。家族たちの優しさを疑ってしまうと、何かが崩れてしまうのではと恐れていた……のかもしれません。

 追記にて、『チェンバロのお話』裏側で起きていた出来事。フィオレッラ視点で書き始めるにあたって、まるごと削った文章です。



 
 

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異世界ルポ更新

 本家を更新しました。

【Farbe】
・異世界ルポルタージュ『1741年 チェンバロのお話』を公開
・事典に『魔法』の項目を追加

 ずっと書きたかったお話を書き上げることができました。
 公開に伴い、あらすじ詰めとキャラ紹介も加筆しました。

 当初は30年ほど前の年代を予定していましたが、チェンバロの楽曲の発表時期を考慮して、今回の年代に落ち着きました。

 次に、事典について。
 どうして今まで『魔法』の項目がなかったのか、私にも疑問です。


 追記にて、いつもの小ネタ集をお送りします。


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小さなものをいくつか

本家を更新しました。

【Farbe】
・らくがき保管庫に1点追加
・事典に『ルグォレ』の項目を追加

 加えて、前回記事でも触れたこと。
・番外編『パンパロディ』を全5枚掲載


○らくがき保管庫
 オシャーンの魂系エリアに追加しました。オシャーンと幼少オルテンス。『if』です。
 オルテンスの誕生日前日~当日に、衝動に駆られて描きました。
 思いのほかに自身の中で感情が募ったようで、五日間ほど消化器を痛めたりもしていました……。


○事典
 突然思い立って、別時空『ルグォレ』の項目を追加しました。
 異世界ルポ『テナ一日局長』『夾竹桃の街』に出てきたヴォルニーさんの出身時空。
 内容からお察しの通り、別創作『Chimney Sweeper』の舞台です。


○パンパロディ
 リュマール「オルテンス知ってる!? ツナって魚なんだよ!!」

 オルテンスの誕生日記念漫画の位置づけになりました。お誕生日おめでとうございました。
 コンセプトを「頭を空っぽにしても読めること」にしていたので、呟き場では語ることを控えておりました……その反動が先の『if』絵に繋がったのだろうと想います。

 以下、漫画の中の小ネタ。

・『if』のつもりだったけど?
 長い人生の中でこういう遊びをしていてもおかしくないよな……と思いました。

・ツナが魚だと知るリュマール
 情報は雑多にいち早く得るみたいです。
 ツナがツナとして出回り始めたのは20世紀頃だそうです。

・食べ物の適切な組み合わせを知るリュマール

・素直に笑うリュマール
 普段のイラストは決め顔が多かったようです。

・やっぱり長がいちばんなオルテンス
 リュマールにとっても、ルーがいちばん。お互いにいちばんの存在がいることをわかった上で愛し合っています。

・ツナも魚だと知ったオルテンス
 食材の選択肢が広がりましたね!

・まってと言われたら待ってくれるオルテンス
 リュマールの教育の成果……かもしれません。

・刺身サンド
 欧州にはあるようです。


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プロフィール

Author:きぃか
普通の社会人です。

ご訪問ありがとうございます。普通の日記になりました。創作についてもよく語ります。

「なごみの部屋」本家はリンクにあります。
本家よりも作品掲載に特化したサイトを別で用意してあります。諸事情により直接リンクを貼ることは遠慮しておきますが、探せばすぐに出てくると思います。

何卒よろしくお願いいたします。

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